もの忘れがひどい
もの忘れがひどい
徐々に悪化する、もの忘れが続く場合は、認知症の可能性があります。もの忘れの症状に加えて、暴言、暴力、徘徊、眠れない、食欲がない、やる気がわかないなどの症状が出現することもあります。
65歳以上で認知症の方は、およそ6人に1人であり、超高齢社会を迎えた日本で認知症の方はさらに増加傾向です。
もの忘れは正常な加齢、老化でも認められます。もの忘れが加齢によるものか、認知症によるものかの区別は難しい場合がありますが、認知症のもの忘れでは、一部ではなくすべてのことを忘れる、もの忘れの自覚がない、日常生活に支障をきたしているなどの特徴があります。
当院では、まず現在までの症状の経過、そして現在の状態などを伺います。正確に診断すること、まずそれが重要です。その上で、認知症がどのようなものかを丁寧に説明し、ひとりひとりの状況に合せて適切な治療を行っていきます。
少し前のことを忘れるので、何度もおなじことを聞くなども出てきます。怒りっぽくなったり、逆におちこんだ感じになることがあります。
また、いろいろなことができなくなる、家事に時間がかかるようになる、迷子になる、これらの症状が見られる場合は、認知症の可能性があります。
認知症は、物忘れや物盗られ妄想などを主な症状とするアルツハイマー型認知症、小人が見えるなどの幻視・パーキンソン症状・注意覚醒の変動があるレビー小体型認知症、脳梗塞などをきっかけに発症する血管型認知症、前頭側頭型認知症など種類があります。
それにより治療法も変わってきます。
認知症は、脳の病気(原発性の脳疾患)として起こるのが一般的です。
脳の病気によって起こる認知症としては、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管型認知症、前頭側頭型認知症などの変性性認知症があげられます。
認知症の原因として最も多いアルツハイマー病では、脳内に異常な蛋白が蓄積して、それが神経細胞の変性を引き起こすと考えられています。
アルツハイマー病をはじめ認知症の原因となる脳の病気は現在のところ根本的な治療が困難な病気ですが、認知症は脳以外の身体の病気によって起こることがあり、その中には治療が可能な病気があります。
正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、甲状腺機能低下症などの内分泌疾患、ビタミンB1欠乏症・ビタミンB12欠乏症・葉酸欠乏症などの欠乏性疾患・代謝性疾患、自己免疫性疾患、呼吸器・肝臓・腎臓疾患、神経感染症などよって起きる認知症が治療可能な病気としてあげられます。
そのような治療可能な認知症疾患の鑑別も重要です。
日頃の生活でのどのような支障が出ているのかをお聞きした上で、専門機関において脳の画像診断を行い、必要に応じて薬物治療を行います。
抗認知症薬は、認知症の進行をできるだけ緩やかにするために投薬します。興奮、幻覚、妄想等の精神症状には、抗精神病薬、漢方薬などを投薬します。
薬物療法以外でも、運動習慣や余暇活動を持つこと、喫煙しないこと、夜間の良好な睡眠、社会的孤立を避けることなどが認知症の発症率を低下させ進行を遅らせることが知られています。
また、高血圧や糖尿病、肥満などの生活習慣病やうつ状態の治療も有効と報告されています。
したがって、生活習慣に気を配り、生活習慣病を治療することが重要です。
認知症になられますと、ご家族の身体的・心理的負担が増していきます。
何をどうしたらよいのか分からない、介護保険などのサービスをどう受ければよいのか分からないというご相談もお気軽にお申し付けください。